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「香織! おはよー!」
「おはよ……」
「香織、気合い、入ってんねー?」
「もち、あたぼーよ」
麻衣と挨拶を交わしながら、ガッツポーズをしている彼女の名前は西村香織と言う。麻衣とは小学校からの幼なじみだ。
彼女は麻衣と同じ制服を校則に則って着ている。足下は麻衣とは違って黒のタイツで決めている。メイクは麻衣ほど濃くはないが、鎖骨の辺りまで伸びた黒髪は毛先がスカスカになるまですいている。更にストレートパーマとヘアアイロンでツンツンになっている。香織が麻衣とは違うギャルであることは一目瞭然であった。
「まいまいも、気合い、入ってるね……」
「当たり前! 舐められてたまるかっ! ってね」
麻衣はキシシ、と笑う。
二人の異なるギャルは、他愛ない会話をしながら学校への道を歩いて行く。片側二車線の広い県道の中央分離帯は緑に覆われている。車通りの多いこの道を、少女たちは歩いて行った。
すると突然、香織が中央分離帯の緑を指さして立ち止まった。
「あそこ、猫……」
「ねこぉ~?」
ほら、と香織が指さす先を見てみると、中央分離帯で立ち往生している黒猫の姿があった。
「ちょっと、何してるの? あの子……」
「渡れない、のかも……」
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