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あなたのことだから、私が死んだ後、絶対に再婚しない、なんて思い込んでしまうんじゃないか、と心配でした。私はあなたに幸せでいて欲しい。だけど、あなたが再婚せず独りでいることが、幸せとは私にはとても思えません。
だから、私のことは気にしないで、いい人がいたら再婚してくださいね。案外、あなたの近くであなたを見守ってる人が、いるかもしれませんよ。その人はきっと、あなたを幸せにしてくれるはず。
早く気づいてあげてね。そして、天国から見ている私を安心させてください。
亜里沙
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「……うぐっ」
思わず嗚咽を漏らしてしまう。涙が止まらない。人目もはばからず僕は号泣した。それしかできなかった。そんな僕を、槙野さんは優しく見つめていた。
そうだよ……亜里沙が何の理由もなくあんなトラップを仕掛けるはずがないよな……
僕の幸せが、君の望みか……分かったよ、亜里沙……
でも、今は何も考えられない。だから槙野さんの気持ちに応えることもできない。
だけど、僕はなんとなく感じていた。
そう遠くない未来、僕の家に再び「ありさ」がいることになるかもしれない、と。
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