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それから一週間。
「亜里沙」じゃなくなったスマートスピーカーと暮らす日々にも、だんだん慣れてきた。思えば、たとえ「亜里沙」ではなくなったにしても、それが亜里沙の残した形見であることに変わりはないのだ。だから無下にもできない。
槙野さんとの関係にも、全く変化はない。が……
思いついたことが、一つある。
亜里沙が亡くなる寸前まで、槙野さんは彼女の指導を受けていた。既にプログラマーとしてのスキルは亜里沙と遜色ないレベルと言える。それに、亜里沙は槙野さんに自分の好きな花を教えていた。それくらい心を許していたのだ。
ひょっとしたら……槙野さんなら「亜里沙」を復活させられるのではないか。亜里沙本人から何か聞いているのではないか。だから僕は、この件について一度彼女に相談してみよう、と思ったのだ。
本音を言えば、それをダシにして彼女とコミュニケーションを取りたいとか、そういう気持ちも……ない、とは言えないが……
というわけで、仕事が終わった後、僕は槙野さんを会社近くのカフェに誘った。亜里沙に関する話だというと、彼女は素直に応じてくれた。
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