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「!」  茫然自失。ひょっとして僕は今、逆プロポーズ的なことをされたのか……?  彼女らしからぬ饒舌さで、槙野さんは語り始めた。 「大学1年の時、初心者だった私に小松先輩は優しく教えてくれましたね。今の私があるのは、小松先輩のおかげです。だから……私は、小松先輩のこと、ずっと尊敬してました。そして……好きでした」  そこで彼女は頬を染める。やばい。かわいいと思ってしまった。  それにしても……  小松先輩……懐かしい響きだ。当時彼女は僕のことを、確かにそう呼んでいたっけ……  彼女は続けた。 「でも、小松先輩には野村さんっていう彼女がいることも知ってました。だから私は自分の気持ちを伝えるつもりはありませんでした。だけど……いつか小松先輩に恩返しがしたい。そう思って、今の会社に入社したんです」  そうだったのか……ちなみに「野村」というのは亜里沙の旧姓だ。
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