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「野村さん……いえ、亜里沙さんは、そんな私の気持ちに敏感に気付いていました。『あんたにはあの人は渡さないよ!』なんて、冗談めかして言われたこともありました。だけど……病気になった後で、亜里沙さんは真剣な顔で私に言いました。『私が死んだあと、あの人をお願い。でも、彼の心の傷が十分に癒えるまでは、ただ彼を見守るだけでいい。彼が再婚の意思を匂わせたら、あなたにも伝わるようにしておくから』って……その言葉通りに、先日亜里沙さんのメールが私にもBCCで届きました。それに書いてあった、近くで見守っている人って……私のことなんです」
そうか。あのメールは彼女にも届いたのか……
……ん?
「ちょっと待って。亜里沙からのメールに、そんなこと書いてあった?」
「ええ。ちゃんと書いてありましたよ」
「ええっ?」
慌てて僕は亜里沙からのメールをもう一度開いてみる。
なんてこった。気づかなかった。
あのメールには、こんな続きがあったのだ。
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