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紅
薄い紅を引く。わたしにはあなたの考えていることが全然わからない。夢なんて見ないし、私はただ、毎日を楽しく過ごせれば良いだけ。他にナニも望まないし、昔みたいにはしゃぐことももうない。無免でバイク乗り回してた頃は確かに粋がってた。悪友ばかりだった。小説書いていると言った時には笑われたものだ。
夢なんか、叶うわけねーだろ、
皆、そんな目で私を生意気な女だと罵り、学校も真面目にはしてなかった。音楽も、特に好きではなかったビートルズの音楽も曲作りの勉強のため、仕方なく聴いていた。教授や、周りの人たちは頭が良すぎて、わたしには別世界の人間の様に思えた。音楽になんて愛情なんかまるで感じなかった。知ったかぶりをして、私は凄いんだと息巻いていた。本当は音楽のなんたるかなんて微塵も知りはしない。私は、親の影響でそう言う音大に入り、仕方なく、従った。その頃、片手間に文章を書く事が、唯一気の休まる事だった。そんな時に、良く、CDでレンタルしてた音楽を片っ端から聴きながら、夢中になって創作していた。特に知りもしない、古いミュージシャンも、その片手間に聞いているうちに、音楽の好みやジャンルも詳しくはなった。コピーしたMDの数も増えていった。ビートルズをJazzでしている人の音楽はかなり創作意欲を鼓舞した様な気がする。私は、いつしか、書いている事が生き甲斐だと感じる様になっていた。音楽は、あいかわず私を鼓舞する道具に過ぎなかったけど。音楽にはそれぐらいしか、興味がなく、BGMとして捉えている。歌手になりたいとか、昔は、思ったりした瞬間も少しぐらいはあったけど、学園祭だけで充分満足していた。girl'spop bundを組んで歌っていた日々は懐かしい。けれど、皆んなそれぞれ今は独立して、違う道を歩いている。私は、小説家になり、それなりの地位を得た。あとは自分に小説の神様が降りる瞬間を待つだけだった。書く事は、全く苦痛ではない。時間と暇さえあれば、いつだってスラスラ書ける。私はそう言う面で、少しばかり他の人達とは違っていた。本気の度合いが此方側に寄っていた。音楽家になど、二度と未練はない。逆に昔みたいに知ったかぶりをして、メッキが剥がれるぐらいなら、最初から、一人で、punk bundの音楽をひっきりなしにかけ続けていた方が良い。何度も言うが、教科書に載る様な音楽は、私の心を癒してはくれなかった。
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