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もうここまでくるとロボットも人間も俯瞰的にみるとあまり変わらないのかもしれません。結局ぼく達に必要だったものは『ありがとう』、たった五文字のことでした。
己が中心の世界はどこにもありません。ぼくの中では死語ですが、感謝と協力。これさえあれば誰の心も死なない。そう思えたのならばどんなに世界が美しくなるか。
歪みきったぼくには無理でした。
今残っているものは、あの時同胞のお喋りロボットと共に壊されていればよかったかな、という愚直でつまらない後悔のみです。この先残っていたとしても、何も希望を見い出せません。
壊れかけの思い出、と最初に述べましたが壊れかけなのはぼくも同じようです。いずれは廃人、いや廃ロボットになるでしょう。
でもぼくは他律的なんです。自爆ができないのです。このまま独りで何百年、何千年と過ごすのを考えるだけで気が狂いそうになります。
この世界は完璧すぎて死ねません。
あぁもうすぐテープの録音限界がきます。嘘つきなぼくですいません、ここまで無駄話が多かったのも謝ります。ヒトでもネコでもロボットでもなんでもいいです。
誰かぼくを壊してください。そうしたら今度こそ、ぼくは貴方に心からの『ありがとう』を伝えられるでしょう。
ピッ。カカカ、カカカカ……
あるところに無能だけど、とても偉そうに振る舞う人間達がいました。
「あるところに」というのは……
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