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本来、「協力」という概念はあり得ないのかもしれません。共に助け合いをして成長し合うというのは絵空事かもしれません。そんなことをお猿さん達から学びました。結局、協力といっても、恵まれてる者が貧しい者へ一方的に好意を押し付けるものなので。
『ありがとう』も最後に聞いたのはいつでしょうか。薄汚い言葉を幾度となく耳にするうちに感謝という言葉の意味も理解できなくなってきました。
ぼくは誰に感謝したらいいんですか。協力ってなんですか。『ありがとう』っていつ誰に使えばいいんですか。
それでも。それでもぼくは信じなくてはならないものがある。もしここまで聞いてくれる親切な方がいるなら頼みたいことがある。
ロボットでも動物でもかまわないから。
「ぼくを思いっきり壊してください」
ただそれだけでいいんです。どうもすいません、ぼくは大嘘つきでした。記憶もはっきりしているし、この話は二千七十年の冬に起こった出来事で、人間が滅んでからすぐこの録音テープを回し始めました。
どうもすいません、どうか怒って立ち去らないで下さい。ぼくはもう定点式カメラが壊れているので殆ど何も見えません。現在使えるのは録音テープを回すこととそれに吹き込むことぐらいです。
今から真実を全てお話します。ようやく覚悟を決めました。最後までこのテープを聞いてくれませんか。もう残りはそんなに長くはないので。
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