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アラームが鳴り、ふと、我に返る。もう出かける時間だ。
物思いに耽るのもここまでだ。
タイミングよく、母さんの声が聞こえる。
「久則―。そろそろ出る時間でしょ? 車で送っていこうか?」
就職祝いをしてくれると言うので、今日はこれから姉ちゃんの家に行く。
姉ちゃんが晩飯を作ってくれることになっているのだ。
少し緊張する。電話ではよく話していたけど、会うのは四年ぶりだ。
「いいよ。姉ちゃんに、一人で来いって言われてるから」
「まったく。相変わらず気難しい子だね。少しは顔見せようって気持ちが無いのかね」
俺は何も言えなかった。
昔のことを思い出していたばかりの俺は、姉ちゃんの気持ちを考えると『そうだね』なんて、とても言えない。
それより、これって『毒親』ってやつなのか?
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