第36話 リューネブルク会戦 ~フリードリヒの初陣~

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第36話 リューネブルク会戦 ~フリードリヒの初陣~

 現皇帝のオットーⅣ世の戴冠前の話である。  神聖帝国北部では、ケルン大司教からローマ王冠を戴冠されたホーエンシュタウフェン家のフィリップを支持する派閥とヴェルフ家のオットーを皇帝に推す派閥に分裂しており、それぞれの派閥に属する諸侯が互いに争っていた。  しかし、フィリップは個人的な怨恨(えんこん)が原因で暗殺されてしまう。これを機に、オットーはシュタウフェン家との関係を改善して同家のベアトリクスと結婚した。  教皇インノケンティウスⅢ世の働きかけも受け、長く続く内戦に疲弊(ひへい)した諸侯たちは、フランクフルトで行われた皇帝選挙においてオットーを皇帝に選出し、その後、オットーはサン・ピエトロ大聖堂で皇帝に戴冠(たいかん)された。  実は、教皇はその裏で神聖帝国とシチリアの分離、中部イタリアにおける教皇権の回復を狙っていた。  そのために貧しく支持者の少ないオットーを教会の傀儡(かいらい)にすることを考えたのである。  その強引なオットーの即位にホーエンシュタウフェン家が反発したため、ホーエンシュタウフェン家とヴェルフ家の対立が再発し、帝国内は再び混乱し始めていた。  近衛騎士団はホーエンシュタウフェン家の常設の軍隊であり、常にこの戦いの最前線に立たされていた。  中でもフリードリヒが属する第5騎士団は最も格下の騎士団であり、いいようにこき使われるのが常だった。  しかし、考えようによっては、だからこそ武功を上げるチャンスにも恵まれていると前向きに考えることもできる。     ◆  いよいよフリードリヒ中隊のデビューのときがきた。  相手は、ザクセン公であるベルンハルト・フォン・アスカーニエンの軍1,500だ。  これに対してホーエンシュタウフェン軍は第4・第5騎士団1,000で当たる。人数的には不利であるが、自国の守りに加え方々にも気を配る必要があるため、これ以上の数を割くことは難しい。  向かうザクセン公国は北部ドイツ地方一帯を版図(はんと)としている。もともとザクセン人が住んでいたが8世紀に神聖帝国の前身であるフランク王国のカール大帝により征服され、ザクセン公とされ今に至る。  ホーエンシュタウフェン軍の第5騎士団長は、ゴットフリート・フォン・マイツェン子爵である。  フリードリヒは中隊長就任時に挨拶(あいさつ)に行ったが、対応がとても冷たかった。  これには裏があって、彼はヴィオランテに求婚し、即座に断られたという情報をフリードリヒはタンバヤ情報部から得ていた。おそらく将来的に騎士団長の地位でも狙ってのことと思量される。  ヴィオランテはお忍びもせずに堂々とアウクスブルクの町をフリードリヒとデートしており、このことは周知の事実だから、おそらくフリードリヒのことを(うら)んでいるのだろう。  一方、ヴィオランテは15歳のまさに結婚適齢期となり、あちこちから求婚の申し出が来ているようだが、これをことごとく断っている。  もちろんフリードリヒとの結婚を念頭に入れてのことだと思われるが、あまり義理立てされて婚期をのがすようなことになったらと思うと少々気が重い。  そんなこともあってか、輜重(しちょう)の輸送などの兵站(へいたん)線の確保については、本来、各騎士団長の責任で行われるのだが、今回は各中隊に丸投げしてきた。他の中隊は割を食ってしまったのかもしれない。  しかし、フリードリヒは全く困っていなかった。実はマジックバッグを改良して、100人分の輜重(しちょう)も余裕で入る容量に改良していたからである。このことは一種の軍事機密でもあるので秘してある。  他の中隊の兵站(へいたん)については、かわいそうなので、まとめてタンバヤ商会で請け負ってやった。これはフリードリヒ中隊のダミーにもなるので一石二鳥である。  タンバヤ商会で手配した輜重(しちょう)部隊には、それなりに戦闘に手練(てだ)れの者を選んである。いざというときは、彼らも戦力として計算に入れられるようにしたのだ。  フリードリヒ中隊は、今回は最右翼に配置されると事前通告があったので、全員が騎馬である。馬匹(ばひつ)はもちろんバイコーンだ。  バイコーンについては、当初、怪しまれたが「黒の森(シュバルツバルト)の奥地で捕らえたものを飼い慣らした」という主張で押し通した。バイコーンを実際に見たことのある者などまずいないので、あながち無理な主張ではないだろう。  バイコーンは冥界の生物なので魔力を活動源としており、飼料が不要という大きなメリットがあるが、これも軍事機密である。  魔力不足に備えて馬具には魔力を充填(じゅうてん)した魔石が取り付けてある。これにはかなりの出費を要したが、今後使い回せるので気にはしていない。     ◆  アウクスブルクを出発して10日後。いよいよ会戦の地に到着した。場所はリューネブルク郊外の平原である。  敵の大将は、事前の諜報(ちょうほう)活動により、ヴィルヘルム・フォン・リューネブルク伯爵と判明している。さすがに大公自らは出てこないようだ。  会戦の時刻となり。両軍が対峙(たいじ)した。  両軍とも横陣を組んでおり、正面対決の様相を呈している。  フリードリヒ中隊は、予告どおり最右翼に陣取っている。  フリードリヒは、戦時には長年愛用の白銀のマスクをすることにしていた。蘭陵王(らんりょうおう)の例を出すまでもなく、フリードリヒのような美しい優男(やさおとこ)が指揮官では締まりがないと考えたのだ。  マイツェン団長から「第5中隊は前進せよ」との伝令が来た。  仕方なくフリードリヒは中隊を若干前進させる。  これで横陣からフリードリヒ中隊だけが突出する形となった。  今回の陣形は右翼を厚くした斜行陣でも何でもないただの横陣だ。これにはフリードリヒは団長の意図を計りかねた。  マイツェン団長から「第5中隊は更に前進せよ」との伝令が来るに至り、フリードリヒは悟った。  フリードリヒ中隊を餌にしてやろうという以外に考えられない。これではただの私怨(しえん)だ。  これ以上前進したら敵の弓兵の射程圏内に入ってしまう。かといって命令を無視したら軍紀違反ということで処罰が待っているのだろう。  この時代に「独断専行」という用語はまだないと思うが、フリードリヒは(自分の権限でできることをやるまでだ)と覚悟を決めた。 「各小隊は第1小隊を先頭に縦陣を組め。敵左軍を中央突破する!」  副官のレギーナは何かを言いかけたが途中でやめた。ここは攻めに転じるしかないと考え直したのだ。  各小隊は速やかに粛々(しゅくしゅく)と陣形を組んでいく。  皆、フリードリヒのことを信じ切っているのだろう。  陣形が完成したところを見計らってフリードリヒは叫んだ。 「突撃(アングリフ)!」  敵の弓の射程圏内に入ったところで弓が斉射され、フリードリヒ中隊を矢の雨が襲う。  フリードリヒはこれを冷静に時空反転フィールドではね返す。  逆に敵の中から矢傷を負った悲鳴があちこちから聞こえてくる。  矢がはね返ってくるという異常事態に「いったいどうなっているんだ?」と敵の弓兵は首をひねっている。 「お兄様。次は私が。お兄様は魔力を温存してください」とマリーが後方から声をかける。  そういえば俺にできることはたいがいマリーにもできるんだったな。 「わかった。2射目はマリーに任せる」  と言うや否や2射目が飛んできた。  今度はマリーが時空反転フィールドで矢の雨を跳ね返した。  また敵の中から多くの悲鳴があがる。  その直後、接敵した。  そのまま速度を緩めずバイコーンで敵を蹴散らし。  手にした武器で左右の敵を攻撃する。  敵の顔は恐怖に染まっている。  神聖帝国では騎馬民族と戦う機会などほとんどないはずだから、このような戦い方も初めて目にしたはずだ。対処の仕方もわかるまい。  敵左軍はみるみるうちに左右に引き裂かれていく。  当初、フリードリヒの突入を破れかぶれの愚行と(あなど)って見ていたマイツェンだったが、この様子を見て顔色が変わった。これを傍観(ぼうかん)していたとあっては、後で何を言われるか知れたものではない。 「全軍。突撃(アングリフ)!」  マイツェンは(あわて)て命令を下し、突撃槍(ランス)を構えた騎士たちが次々と突撃していく。  これで敵の注意はホーエンシュタウフェン軍本軍の方に向かった。フリードリヒは心中でニヤリとした。  これで孤立した敵左軍の左翼を狙い撃ちできる。  フリードリヒ中隊は敵左軍を突き抜けると反転し、分断した左翼の側面に回り込む。 「敵左翼の側面から弓で狙え! 風魔法が使える者は風で矢を運べ!」  冒険者時代から使っている常套(じょうとう)手段である。  フリードリヒは敵から距離をとって進路をとる。敵にも弓兵は残っているが、これで敵の矢はとどかない。  攻撃はフリードリヒ中隊からの一方的な攻撃となった。面白いように敵が倒れていく。  フリードリヒは、敵中に中隊長か小隊長らしき人物がいると優先的に攻撃していく。首狩り戦術は敵を混乱させるのに最適だ。  射た矢を念動力(サイコキネシス)で音速近くまで加速させると鉄の鎧も貫通した。  急所はわざと外してある。殺し過ぎで恨みを買うのも得策ではないし、できれば捕らえて身代金をせしめるのだ。それがこの時代の流儀でもあった。  傷がもとになって感染症で死ぬ分にはこちらの知ったことではない。  あまり使いすぎると矢が尽きてしまうので、頃合いを見計らって再び突撃攻撃に切り替える。 「我に続け! 突撃(アングリフ)!」  これを2度、3度と繰り返す。  これによって混乱した敵左軍の左翼は脱走する者も出始め、散りぢりとなった。 「ミーシャ。輜重(しちょう)部隊を連れて来て、身分の高そうなものから優先的に捕虜(ほりょ)にしていってくれ」 「わかったにゃ」  ミーシャは空を飛べるサンダルのタラリアで飛翔すると輜重(しちょう)部隊へと向かっていった。多少の抵抗はあるだろうが、手練(てだ)れの彼らなら大丈夫だろう。  残る敵左軍右翼へと矛先を向ける。まずは、弓での遠距離攻撃だ。 「敵右翼の側面から弓で狙う! 風魔法が使える者は風で矢を運べ! 矢は撃ち尽くしてかまわない」  ホーエンシュタウフェン軍本軍に注意が向いていた敵は、側面から不意の攻撃を受け混乱する。  敵には弓兵もいるが、再び一方的な攻撃が繰り返され、敵は次々と倒れていく。 「矢が尽きた者は魔法を解禁する!」  というや否や、レインオブファイアが雨あられと敵に降りそそぐ。  プドリスだな。おっとりしているくせに、戦うときは容赦ないからな。  ほかにも無数の氷の矢や風の(やいば)が敵を襲う。  並行して、リードリヒは敵中の中隊長か小隊長らしき人物を集中的に魔法で攻撃していく。  そろそろ頃合いだな…。 「よしっ! 突撃(アングリフ)!」  混乱している敵左軍右翼の背後から突撃をかける。  敵は正面からもホーエンシュタウフェン軍本軍の攻撃を受けており、かつ、隊長格も負傷してしまって、どう対処してよいかわからず混乱の極致のようだ。  こちらも2度、3度と突撃をかけると散り散りになってしまった。 「よしっ!次は中央軍へ向かう!」  そう言って中央軍に迫った矢先、フリードリヒに炎の矢が向かってきた。これを魔法障壁で防ぐ。  どうやら中央軍には本陣の守りのために魔導士が配置されているようだ。見ると10人程である。  フリードリヒが瞬時にレインオブファイアを発動すると、炎の矢衾(やぶすま)が魔導士たちを襲い、バタバタと倒れていく。  が、1人だけ残っている。魔法障壁で耐えきったようだ。  奴が筆頭魔導士か? 少々厄介だな… 「アダル。()れるか?」 「承知!」  そう短く言うと、アダルベルトは魔導士めがけて突進した。立ちはだかる敵を蹴散らし、切り捨てていく。手にしているのはフリードリヒが貸し与えた名剣アロンダイトである。  魔導士も必死に炎の矢を放ってくるが魔法障壁で防いでいる。 「皆もアダルを援護だ! 突撃(アングリフ)!」  矢の雨が降り注ぐがこれを時空反転フィールドではね返す。  例によって敵の中から多数の悲鳴があがった。  続いて接敵したらもうこちらのものだ。敵味方混在しているところに弓は撃てない。  一方、アダルの方は無事に魔導士を討ち果たしたようで、合流しようとこちらに向かっている。  フリードリヒ中隊は左軍同様に中央軍も分断していく。  そのとき本陣がフリードリヒの目に入った。  あの一段と(きら)びやかな甲冑を着ているのがリューネブルク侯だな。  フリードリヒは即座に判断した。 「大将の身柄を申し受ける! アダル。バイコーンを頼む」  殺してしまうとまずいので、本陣にスタンアローの雨を降らせて護衛もろとも無力化すると、マジックバックから杖を取り出し、これに(またが)り飛翔して一直線に本陣へと向かう。  素早くリューネブルク候の身柄を確保すると杖に乗せた。  そして空中に静止したまま大音声で叫ぶ… 「リューネブルク候の身柄を引き受けたり!」  その声を風魔法に乗せて戦場全体に(ひび)きわたらせた。  戦場全体の注目がフリードリヒに集まった。  見覚えのある(きら)びやかな甲冑を見た敵軍は戦意を喪失し、戦いの勝敗は一気に決した。     ◆  戦いが終わって、捕虜(ほりょ)交換などの戦後処理に数日を要した。  リューネブルク候を始めとする各士官の身代金は相当な多額となった。  また、書面上、ザクセン公はホーエンシュタウフェン家に寝返ることが約束された。このような約束は反故(ほご)にされることも多いが、この(たび)のホーエンシュタウフェン軍の強さを聞いたザクセン公の心中は計りかねる。  そして、ホーエンシュタウフェン軍は帰路についた。  夕食時。フリードリヒは女子連中に周りを囲まれていた。男の士官はアダルベルトを除き、席を外してしまった。気を()かせたということなのか、気後れしたのかはわからない。  アダルベルトは意地でもフリードリヒの(からわ)らを離れようとしなかった。  ネライダが口を開いた。 「主様。騎馬軍団というのは強いですね。主様が力を入れて特訓していた意味がよくわかりました」 「神聖帝国では今回が初披露(はつひろう)だったし、敵の指揮官も凡庸(ぼんよう)だったから上手(うま)くいったが、今後は対策を講じる者も出てくるだろう。  それならそれで、いくらでもやりようはあるがな」 「それは頼もしいですね」 「それはそうと帰ったらまた特訓だぞ。  本物の騎馬民族の力量はこんなものではない。子供の頃から馬とともに育っているからな」 「なぜそんなに騎馬民族にこだわるのですか?」  それは前世の知識どおりに歴史が推移するとなると、何年後かに神聖帝国はモンゴル軍と対決することになるからだ。これはそれに備えての仕込みという意味もあるのだ。  しかし、今はまだそれを明かす時期ではない。 「あと何年後かにはわかるさ」 「そうなのですか?」 「ああ。とにかく努力が無駄になることはない」 「そうですね」  そこでヴェロニアが話題を変えた。 「それにしてもよう。何でローザだけバイコーンに乗れるんだ?」  実は女子連中は皆が処女だったので、不純を(つかさど)るバイコーンに騎乗を拒否されてしまったのだ。仕方がないので、彼女たちはユニコーンに騎乗させている。  ユニコーンは馬体が白いので、フリードリヒ中隊の中では彼女たちが配属されている第1小隊だけが目立っていた。  しかし、ローザも本番行為はしていないので、いちおう処女のはず。だが、×××××をしたら不純認定されてしまうということなのか? 「そ、それは私にもわかりませんわ。闇の種族同士で相性が良いのでは?」とローザがしどろもどろに答える。 「だったら、あたいやプドリスが乗れてもいいようなものじゃないか?」とヴェロニアが突っ込む。 「そ、それはバイコーンに聞いてみないとわかりませんわ」  女子連中は疑惑の目をローザに向けている。 「とにかく私が処女であることに間違いはありませんわ。ねえ、フリードリヒ様」 「少なくとも私にはそういうことをした記憶はないな」 「何ですか! その意地悪な言い方は! 私はフリードリヒ様以外の方と浮気をするような女じゃありません!」  ローザはプリプリと怒ってしまった。  女子連中はローザが処女であることはいちおう納得したようだ。ではなぜバイコーンに乗れるのか、あれこれと想像を始めてしまっている。皆、(だま)りこくってしまった。  この雰囲気はまずいな。話題を転換しないと… 「とにかく、皆、食事にしないか。せっかくベアトリスが腕を(ふる)ってくれたのに冷めてしまうぞ」 「なんですか。その露骨な話題転換は!」とベアトリスが反発した。 「そもそもバイコーンの心中など想像しても(せん)ないことだ。本当に単に相性の問題かもしれないしな。  私も馬術を習いたての頃は雌馬にばかり好かれて苦労したものだ」 「まあ。あなた。もしかして人族だけではなく、馬まで雌が寄ってきていたの?」とローザが驚いた。 「ま、まあな」  今度はフリードリヒに女子連中の非難の目が向けられる。  ──いや。相手は馬だぞ。馬に嫉妬(しっと)してどうする。 「フリードリヒ様は雌馬に好かれるというだけで、雄馬に乗れないわけではありません」  とアダルベルトがフォローしてくれた。  しかし、ベアトリスが意外なことを言い始めた。 「フリードリヒ様は魔性の男ですから、男をも魅了してしまうのですわ」  ──な、なんてことを言うんだ。ベアトリス! 「男には男同士のつきあいというものがある。女には計り知れないものだ。それは男女の恋愛とは違う」 「そうなのでしょうか?」  ベアトリスは納得しかねる表情をしているが、とりあえず引き下がってくれた。  だが、アダルベルトの方を見ると、真っ赤になってうつむいているではないか。なんなんだその反応は!  さすがに、そこには突っ込みを入れられないフリードリヒであった。     ◆  私はネライダ。フリードリヒ様の従者をやって5年目になります。  当初、私は主と従者の恋などあってはならぬことと否定的でした。  でも、今は違います。私は主様に対する恋心を否定することはできません。  今日、ローザさんがなぜバイコーンに乗れるのか話題になりました。  要は、ローザさんは処女であるものの、バイコーンに不純と認定されるようなことをしているということなのだと思い至りました。  私がバイコーンに拒否されるということは、少なくとも私には経験のないことです。  しかし、それって何?  そういう方面が不勉強な私にはさっぱりわかりませんが、ローザさんがそれをしていると思うと少し嫉妬(しっと)してしまいます。  かといって、こんな恥ずかしいことを他人に聞けるはずもありません。ましてや、フリードリヒ様本人になど…  恥ずかしいけれど、今度お母さまにでも聞いてみようかしら。
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