1、強い女は好きですか

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それは三歳の頃から柔道から始まり空手、カンフー、少林寺、ボクシング、剣道など個人競技には片っ端、手を付けた。  その結果、空手では小学生の部で県大会優勝。柔道では中学生の部で全国大会準優勝。他にも数々の賞を貰ったことがあるくらい私は強者である。 当然、そこらの男よりも強い。圧倒的に。 そんな私の生活は我慢ばかりだ。本当の姿を見せられない以上、日常生活では常に気品のある女を演じ続けなければならない。強い私は一切人前では見せられない。 特に朝起きて家を出るまでに所用する時間は頑張って一時間。 家を出る前は姿鏡で念入りに自分を確認しなければ出掛けることができない。 自分の中で気が済むまで何度でも確認する。 とにかく手間が掛かる毎日。たまに面倒で素のまま出かけたくなるが、人前に出る時はグッと堪えて偽りの自分を作り上げる。 強い私は本当の姿。可愛くて弱い姿は偽りの姿。二つの顔が私にはある。そのうち私は本当の姿を隠しながら生活をしている。普段は偽りの姿で生活を強いられている訳だ。 何故、そこまで自分磨きに一生懸命になるかと言えば女として生まれたからにはチヤホヤされたいというのが本心である。女の子らしい生活をしたい。恋愛もしたい。女として接しられたい。そんな思いが強かった。 高校までは自分を曝け出していたが、大学に入った今、本当の自分を封印して弱者のフリをすることに決めていた。そのおかげもあり、私の周りは賑やかになった。
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