ハムスター飼育日記

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ハムスター飼育日記

 一人暮らしの淋しさに耐えかね、ハムスターを飼い始めた。  ハムスターの世話はそんなに難しくない。毎日エサと水とトイレ砂を交換するだけ。ケージの大掃除は、よほど汚さない限り月に一度くらいでいいらしい。  ハムスターは夜行性だ。昼は巣箱に引きこもって一切姿を見せない。電気がついているのも嫌らしく、俺が仕事から帰ってきてもなかなか外に出てきてくれない。エサと水をやり、疲れた身体をベッドに投げ出し明かりを消すと、ようやくケージからガラガラ……と回し車を走らせる音が聞こえてくる。  ハムスターを飼い始めて一ヶ月が経った。そろそろケージの大掃除をしてやらねばならない。残業のあとでクタクタだったが、俺はハムスターのケージへ向かった。  ケージの上蓋を外してみたが、やはりハムスターが出てくる気配はない。とはいえ大掃除を始めるのだから、このまま引きこもってもらったら困る。  少しかわいそうだと思ったが、俺は巣箱を取り上げた。  巣箱の中はもぬけの殻だった。  呆気に取られていると、急に部屋中に異臭が立ち込めた。嫌な予感を覚えつつ、異臭の元を探した。  その予感は当たってしまった。箪笥と壁の間に、変わり果てた姿のハムスターが転がっていた。死体の様子を見る限り、もうだいぶ日にちが経っているようだ。  薄情と思われても仕方がないが、俺はそいつを新聞紙で何重にも包んだあと、ビニール袋に入れて外のゴミ捨て場に投げ込んでしまった。だって、あまりにも恐ろしかったからだ。ハムスターの身体は、得体のしれない猛獣に食い破られたような無残な姿をしていた。  あいつを殺したのは誰なんだ? それと、昨日の夜まで毎晩回し車を鳴らしていたのは誰なんだ?
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