川瀬くんのお花通信

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 3ヶ月だけ同級生だった男の子がいた。川瀬くんというその男の子と、私は名字が久保田だったので、出席番号が5番と6番で隣だった。だからクラスでランダムにバディを組む時は、私は川瀬くんと一緒だった。3ヶ月だけ。  秋のある日、誰かが学校にチューリップの球根を持ってきた。結構な数だった。なので学校の花壇に、クラスで二人ひと組になって植えた。私は、もちろん川瀬くんと一緒だった。  川瀬くんと会話らしい会話をしたのは、その時が初めてだった。中3で、男子と女子の間にはもうすでに超えがたい壁が存在していた。それに川瀬くんはまあまあすてきな男の子だったので、無防備に話しかけて女子に何か思われたらどうしよう、などと勝手に警戒していた私だった。 「小学生かよ」  と、つぶやいたのは川瀬くんだった。そう言って、同意を求めるように半分笑った。 「……ほんと、こんなの小学生以来だよね」  ふふっ、と笑いながら私は顔を上げた。川瀬くんの顔が間近にあった。つるりと日焼けした頬の輪郭。鼻の周りだけ、にきびででこぼこしている。
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