僕の家には猫がいます

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僕はを飼っていない。けれど仕事が終わって玄関のドアを開けると、毎回がいる。窓もドアもきちんと施錠していたにも関わらず、必ずがいる。なんなら別のがいることもあるし、何匹かいることだってある。はきまぐれだっていうけど……そこ、僕の部屋なんだけどね。  就職できた僕は、今の賃貸物件を借りた。アパート管理会社のカウンターで最安値の物件をと頼んだのは僕だけど、何故かこの部屋だけ異様に家賃が安かった。「安い理由って、以前住んでいた入居者が自殺や殺人事件が起きたからですか?」と一応訊ねてみたけど、そういうことはないとの返答。幽霊の存在を信じているけど、気にしていないふりで僕は「じゃあ、その部屋でお願いします」と即決した。  「ウミャー」という嬉しそうな鳴き声で、ウトウトしていた僕は現実に引き戻された。背中が重い。どうやらうつ伏せで読書をしていた僕の上によじ登って、背中を制して満足しているのは、でっぷりした白猫だろう。これで背中に温もりを感じたなら、普通の猫だと信じれたかもしれないけど、重いだけ。幽霊にも重さがあるんだなぁと、呑気に僕は読書を続ける。
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