僕の家には猫がいます

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 ベッドの脇に置いていたスマホが小刻みに震えて、背中の重みがフワッと移動する。メールを確認すると『彼女』からだった。『こんばんは。お仕事お疲れ様です。今日の猫さんは、元気ですか? また具合が悪いようでしたら、いつでもお家に向かいますね(*・ω・)ゝ』と可愛らしいスタンプが添えられていた。画面を見つめて、具合が悪くなくても僕の部屋に来てくれればいいのになと一瞬よぎった想いに僕はおもわず枕に顔をうずめた。  僕はピョンピョンと棚と棚を軽々ジャンプしながら歩き回る白猫を見つめる。彼女に会いたい気持ちをグッと堪えて『今日は、とっても元気です。横になっていたら背中に乗られました』と打ち込んで『とっても元気なので撫でに来ませんか?』と追加で打ち込む。  送信ボタンを押そうとするも、僕と彼女の微妙な関係を壊したくなくて、追加した文章を削除して『心配いらないです。明日もお仕事頑張ってください』と代わりの文章に差し替えて送信した。意気地なしだと落ち込んだ僕の手を、今度は別の猫―甘えん坊の三毛猫がペシペシとはたいてきた。猫よ、それは慰めてくれているのかい?
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