僕の家には猫がいます

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 こうして始まった彼女との付き合いは、今でも続いている。メールだと本当かどうか心配ということで、月に1回は僕の部屋まで訪ねてきて診察をしてくれる。けど、やっぱり脈はなくて。僕も本当のことは言い出せないまま。結局あの子猫は無事に元気になって彼女も安心したのだけれど、大丈夫になったからか徐々に出現回数が減ってきている。次に彼女が訪問した際にあの子猫はいてくれるだろうか。最近の僕はそっちが心配だ。  心配事は、もうひとつある。子猫に脈はないけど、彼女は僕のことをどう思っているんだろうと気にしてしまう。この部屋に住み始めて猫と生活して寂しくはないけど、月に1回でも彼女の姿を見ると嬉しいというか彼女を好きな気持ちを抑えられなくなっている。こちらの脈も……ないのだろうか。  「ニャーン」と聞き慣れた子猫の鳴き声と共に、ブルブルとまたスマホが震える。彼女からもう一通メールが届いたみたいだ。『明日は診察でお部屋にお邪魔しますね。よろしくお願いします( *・ω・)*_ _))ペコリ それでは、おやすみなさい(*・ω・)ノシ』  画面から目を離す。ゴロゴロと喉を鳴らせてくっついてくる子猫を撫でながら僕は「脈、あるかなぁ」とそれとなく呟いてみる。白猫と三毛猫が「ニャン」と答えた。お世辞でも応援ありがとうと猫を撫でていく。  ーー明日、彼女に伝えてみよう。脈のない猫のことも、脈があるかも分からない僕の気持ちも。僕は布団の上にある重さを感じながら、そっと瞳を閉じた。    
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