強制女装は心の糧

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 店の奥にある秘密の部屋。そこには女装用の服がたくさん並べてあった。わたしのような大きい男性に合わせたサイズの服の数々。  もちろん、その男性はこの部屋に入ったとたんたじろいだ。 「こ、これは……」 「どれか一つ着て頂戴」 「え、私が着るんですか?」  戸惑いと恐怖が入りまじっだような表情。いいわ。そそられる。 「もちろんよ」 「な、何で。あなたそういう趣味が……」 「いやあね。別に取って食おうなんて思っちゃいないわ」  ふりふりのエプロン姿で、このしゃべり方だから良く誤解されるけど、わたしは至ってノーマルだ。 「ただ着て欲しいだけよ」 「着てどうするんですか?」 「めでるだけよ。あ、写真は撮らせてね」 「ま、まさか、そうして私を脅すんじゃ」 「そんな人聞きが悪い。ただわたしが見て楽しむだけよ。ほら、早く」 「で、でも」 「何でもするって言ったでしょ」 「うっ」  その男性はさっきの発言を後悔した顔をした。 「見られているのが嫌なら、わたし表出てるから。着替えたら呼んでね」 「あ、ちょっと待」  パタンと扉を閉めた。これで着替えるしかなくなるだろう。
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