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4、家探し
自分の給料と貯金から、一戸建てには手が届かない。妻と相談し、マンションを探す事にした。始めは、公団・公社の物件を探した。理由は、平米数と価格だ。新聞広告のチラシ情報を基に申込みを行った。その時は、当選する事だけで頭が膨らみ、外れる事など考えもしなかった。1件、2件、3件と、幾つもの内覧会、抽選に応募した。が、ことごとく、外れてしまった。勤務先から遠くにエリアを広げてもダメだった。あまりに、当たらないので、二人共気が滅入っていった。考えてみれば、当選確率は、10%程度なので、10人に1人当たるだけなのだ。50%でも、運が悪ければ、ずっと外れくじを引く人がいる訳で、抽選による持ち家は、当てにならない事を受け止めた。
そんな中、不動産業者から物件の進めがあった。私達が物件を探している事を何処で嗅ぎつけてきたのだろうか。同じ業界の中では、個人情報も漏れるのだろうか。まるで、抽選外れを見透かして訪問してきた位に都合のいいタイミングだ。不動産業界では、知られている会社なので、信憑性と言った面の心配は無かったのだが、当該物件は、自分達がガイドラインにしていた専有面積より、10㎡狭く、価格は500万円以上、高額だった。マンションは、駅近が基本なのに、最寄り駅まで徒歩20分。それでも、焦る気持ちと、「駅構想が有る」と言う営業ここだけ話に、魅かれてしまったのだ。それに、マンションなら10年位で転売すればいい。一生住む訳じゃないと、軽く考えていたのだ。バブル期であったからかもしれない。
私達は、その物件を本格的に検討する事にした。理由の一番は、探すのに疲れたからだ。公社、公団の抽選の倍率を見ると、一生当たらないと思う。二番目は子供達の幼稚園や小学校の途中編入は、避けたい事だ。幼少期の不安定な要素は除いて置きたいのが親心だ。
当該物件は、これから建築がスタートし、完成は2年後だと言う。室内の装飾や間取りの和、洋の選択もオーダーで決められるそうだ。公団、公社の物件は、抽選会がある時は、ほとんど完成されており、選択肢は少なかった。その点は、ちょっと嬉しい。
概算で支払い見積を作成してもらう事にした。
まず、購入額から用意出来る頭金を除いた金額がローンになるので、金利の低いものから満額借入で、順番にリスト化してもらった。そして、その書類に目を通した。
今までの人生で、一番の高額な買い物だ。その割には、高額な買い物の実感がわかない。何故だろう。たぶん、紙面上の額だからなのだろう。
何とかローンは成立している。35年払いだと、販売価格の二倍近く払う事に驚いた。
平米数は、自分達が納得すれば良い事だが、問題は、予算が500万円程オーバーしている事だ。頭金を当初予算の額にすると、ローン代金が増加となり、月の払いが結構厳しい。住宅を購入しても、普段の生活が成り立たないのでは、本末転倒だ。これから、子供達にもお金がかかる。参ったな。当初の予算で間に合う物件を探すか、充てにならない抽選会の申込みを続けるか。 取りあえず、建築予定の場所を見学させてもらう事にした。
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