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6、建設予定現場
1989年(昭和64年)、横浜博覧会が開催された年だ。せっかくの機会なので、双方の両親に声をかけ、博覧会に誘った。博覧会と言えば、大阪万博が頭に浮かぶが、横浜博も結構盛大で、テーマは、「宇宙とこども達」だったかな。現在のみなとみらい21地区開発のスタートとなった場所だ。
当時は、現在のそごうデパートの裏からゴンドラが架かっていて、いくつかある会場アクセスの中からスキー場以外では珍しいと思い、これを選んだ。
沢山のパピリオンを見学し、疲れていたと思うが、その帰り、建築中のマンション現場に案内した。まだ、基礎工事が始まったばかりで、階段状の土手が見えるだけだった。
私の母が発した最初の言葉は、
「ここ、崩れないわよね」とだった。階段状の地形が気に入らなかった様だ。平らに越したことはないが、横浜は地形的に丘が多く、仕方ないのだと説明した。心配性の母は、妻の父と、何やら、話しをしていた。周囲には、先に立っている同じ系列のマンション、戸建て数件、アパート、そして、倉庫会社があった。目の前にある橋の下には、電車の線路が見える。
「あれは、何線? 何駅?」と、妻の父が訊ねたので、
「あれは、JRの貨物駅で、乗れないです」と、言うと、
「あれが駅だったら、近くていいわね」と、母は、何気なく口にした。
「営業担当は、駅になるかもと、言っていたけど・・・・・・はっきり決まった訳じゃない」と歯切れの悪い答えをした。
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