16人が本棚に入れています
本棚に追加
乾いた土を踏みしめ、一歩一歩荒野を進む。
私の剣を恐れ、弱い魔族はもう襲って来ない。
誰にも邪魔されず、私は私の道をゆく。人生という名の旅路を……
「ルナ! 待ってくれ」
後ろの方から声が聞こえる。その声は足音とともに大きくなっていき、振り返るとそこには求婚を断ったはずの王様の姿があった。
「レックス王?」
「君に出会えてよかった。君の生き方、とっても素晴らしいと思ったんだ。だから、僕も自分の生きたいように生きる! 一緒に行かせてくれないか?」
私が"剣士アルマ"に憧れたような感情を彼も私に抱いたのか、それとも結婚が諦められずにストーカーをする口実なのかはわからない。
けれども、私はレックス王に気に入られてしまったらしい。
「言っとくけど、この旅は私の旅。つまり、仲間が王様だろうと誰だろうと私がリーダーだけど、それでもいいなら勝手について来れば?」
「ありがとう、ルナ!」
私は一歩二歩と前を進み、振り返らずにただ歩く。
私の行く先は私にしかわからない。否、私にもわからない。でも、この道がどんな未来に繋がっていようとも、それは私の人生であり、私の旅なのだ。
〆
最初のコメントを投稿しよう!