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「さて、次はこっちが攻める番だ」
アルマは霊刀を左手に持ったまま、反対側の手で音叉のような形状の鍔がついた剣を抜いた。
「竜の鱗を斬れる武器など存在しないわ。返り討ちにしてやる!」
駆け出したアルマの喉元目掛けて、エンビを殺めた鋭利な尻尾を伸ばすピーチ。
しかし、彼の剣は以前戦った時に苦しめられた鱗の硬さがまるで嘘であるかのように簡単に尻尾の先端を斬り落としてしまった。
あまりの痛みに火山が噴火したかのような声を上げて苦しむピーチ。
「これは常に微細な振動が発生していてどんなに硬いものでも分子レベルで斬ることができる"響剣ビブレイド"だ」
その斬れ味は、以前持っていた血吸いの妖刀なんて比べ物にならないくらいの鋭さだった。
「悪いけど、今回は対竜用の装備で固めてきたから負けないよ」
ここにいる男たちの中では誰よりも小柄で細身だけれど、彼の背中は最も頼もしく、見ているだけでとても安心できた。
「さあ、次はどこを斬って欲しい? その姿でいてくれる方が躊躇なくトドメを刺せそうだから、竜化が解ける前に殺るよ」
敵の喉元を見据え、一歩ずつ歩み寄るアルマ。
炎を吐いても消し去られ、爪や牙で身を貫こうと近づけば万物を斬る振動剣で両断されてしまう……もはやピーチには勝ち目などある筈がない。
私はこのまま難なくアルマがリベンジを果たすのだろうと確信していた。
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