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「どうする? その音叉の剣だと私に操られているだけの罪もない人間たちを斬り殺してしまうわ」
「だったらこっちの剣で退けるまで」
アルマは霊刀ドルフレーゲンで竜人たちへと斬りかかるが、利き腕ではない左手の攻撃では力が入らず、敵の一人によって鱗に覆われた素手で受け止められてしまった。
「そのまま奪え!」
敵の策に嵌まり、炎への対抗手段を奪われてしまったアルマ。
もし手加減不能な右手の響剣ビブレイドを納めて水の霊刀を利き手に持ち変えていれば、しもべたちを退けることは簡単だったかもしれない。
でも、そうすればピーチへの有効打を一時的に手放すことになり、その隙をついて八つ裂きにされてしまっていただろう。
いずれにせよ、彼がどう行動しようとピーチにとっては計算内のことで、不利な状況に陥ることは必然だったのかもしれない。
「アルマっ!」
今まで助けられっぱなしだったからこそ、私が助けなきゃ。
導師の剣は私の思いに応えるように攻めの勢いを増して自分の周囲の竜人たちを退けると、アルマのいる方へと私を向かわせてくれた。
けれども、視界に入ってきたのは仲間であるはずの竜人たち諸共アルマを焼き殺そうと炎を吐き出す竜の姿だった。
「やめてっ!」
私の叫び声も虚しく、彼は私の目の前で灼熱の炎に包まれて姿が見えなくなってしまった。
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