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しかし、彼から水の霊刀を奪った敵の1人が近くで炎の巻き添えになって反射的に身を守ろうと振ったため、アルマたちを襲った炎は間もなくして消えてくれた。
そして、目隠しになっていた火の壁が消失したことで衣服を燃やされたアルマの正体が白日の元に曝されることとなった。
「あ、あなたはやっぱり……」
「やれやれ、見られちゃったか」
瞬時に左腕で胸元を隠すアルマ。ほんの一種だったけれど、私には2つの膨らみが見えた。
見間違いかとも思ったけれど、そもそも隠している時点で間違いなく"黒"だ。
「今まで騙しててごめん。でも、"やっぱり"と言うってことは既にバレかけてたかな?」
そのやりとりをアベストスは戦いながらも羽織っていた鮮やかな衣を脱いで放り投げ、抜群のコントロールで上半身を覆うものがなくなったアルマの肩へとそれを被せた。
「ありがとう。でもこれだと前が肌けるから左手は離せないわね」
正体を知られた彼ーー否、彼女は開き直ったかのように男性ぶった口調をやめて流暢にアベストスへ礼と文句を言う。
「おのれ、私の邪魔をするなっ!」
ピーチは先程とどめのつもりで吐いた炎を消してしまった霊刀ドルフレーゲンを持つ竜人を怒りに任せて噛み殺すと、再び炎を吐くために息を大きく吸い込み始めた。
「ルナ! あなたならできるわよね?」
アルマは右手に持っていた響剣ビブレイドを私の方へと放り投げると、血を流し倒れた亡骸から霊刀を取り戻しピーチが吐いた燃え盛る炎を受けた。
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