*嫌がることはしないから

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 緒川(おがわ)さんはすぐに手を解いてくれたけれど、1度シーツの上に固定された手を、動かしてはいけないような気がして。  隠そうと思えば隠せるはずなのに、それはいけないことなのだとぼんやりとした頭で思う。  どうしてそう思ってしまうのか、分からない。  分からないから余計に混乱して。  そわそわと出口のない思考に(おちい)り戸惑っているうち、いつの間にかショーツのサイドの紐が解かれていて、急に腰骨の締め付けが緩んだことに驚いた。 「あっ、やっ……!」  肌から落ちそうになる小さな布を逃すまいと、思わず足をギュッと交差するように身をよじったら、まるでそのタイミングを見計らったように身体の下に敷いていたワンピースごとショーツを抜き取られてしまった。 「――っ!」  声にならない悲鳴を上げた私をじっと見下ろして、 「菜乃香(なのか)。思ってた以上に綺麗だ……」  緒川さんにうっとりと吐息を落とされた私は、恥ずかしさに居た堪れなくなる。
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