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「そうだね。菜乃香だけ裸とか……そりゃ、恥ずかしいよね」
しみじみと、まるで私にそのことを意識させるみたいにそう言われて、私はますますどうしたらいいのか分からなくなる。
「ねえ菜乃香。俺が恥ずかしくないようにしてあげようか?」
ツツッ……と背けたままの頬の輪郭を、耳のすぐ下からなぞるように指先を這わされる。
そのままフェイスラインに沿ってあごまで伝い落ちた手指に、すくい上げられるように顔を彼の方へ向けられた私は、すがるような思いで緒川さんの声を聞いた。
「――て、欲しぃ……です」
ギュッと目をつぶって小さくこぼしたら、「ん?」と優しく問いかけられる。
「して、欲しい……です」
そんな方法があるのなら一刻も早く。
私の中で、その方法は毛布を着せ掛けてくれるとか、先程取り払われてしまったワンピースを返してくれるとか……そういうことだったから。
だから一生懸命そう言ったのだけれど。
「――了解」
緒川さんは私の懇願に嬉しそうにクスッと笑うと、次の瞬間には再度私の唇を塞いでいた。
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