*俺だけの特権

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 休日や週末の夜にはホテルに入ったりもするけれど、それにしたって無料(タダ)じゃない。しっかり経費がかかるのだ。  公務員で……尚且つひとまわり以上も年の離れたなおちゃんが、一体いくらくらいのお給料を稼いでいるのかなんて、私は知らない。  知らないけれど、デートのたびに食事代はおろか、その他諸々の費用を払わせてくれないなおちゃんに、私も少しくらい何かお返しをしたいと思っていて。  なのに――。 「俺の目の届かないところに行って、浮気でもするつもりなの?」  自分には奥さんはおろかお子さんだっているくせに、そんなことを言ってくるなんて……ずるい。  なおちゃんは歳の離れた私が、いつ彼に飽きて同年代の男性と関係を持ってしまうかと気が気じゃないらしい。 「菜乃香(なのか)は押しに弱いから」  そう言われて眉根を寄せられると、「そんなことない」と即座に否定できないのが自分でも情けなかった。  現になおちゃんとの関係だって、最初は彼からの猛プッシュに負けたわけだし尚更。
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