*斜め上からの独占欲

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 私たち、毎日のように会えば身体を重ねているけれど、全然足りなくて……もっともっとと思ってしまう。  それはきっと、なおちゃんが妻帯者で、どんなに肌を合わせても全部私のものにすることは敵わないという気持ちも手伝っての感情だと思う。  なおちゃんの方も、何だかんだ言っても家族を手放す覚悟までは出来ていないから。  刹那の逢瀬(おうせ)が心を焚き付けるんだろうな。  なおちゃんと一緒にいると、自分が動物になってしまったような気がして怖い時がある。  お互いに相手の身体を求めることしか見えなくなって、深く深くその行為に沈み込んで溺れてしまうような、そんな恐怖。  熱い抱擁(ほうよう)と情事の後、なおちゃんがアパートを後にしてひとり部屋に取り残されてしまえば、途端喪失感で虚しくなるのは分かっているくせに。  一緒にいる時は麻薬のように、彼のにおいが、彼の息遣いが、彼の声が、彼の温もりが、彼と触れ合う肌の感触が……私の脳を麻痺させるの。
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