*斜め上からの独占欲

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***  土曜日――。  なおちゃんは先の約束通り、私を県外のショッピングモール内の宝石店に連れて行ってくれた。  さすがに県内だと知り合いに出会うかもしれないからと、私たちのデートはもっぱら高速を使って1時間以上は走った先。  移動中の車内でなおちゃんとずっと手を繋いで、ふたりのお気に入りのアーティストの曲をかけながら移動するのも私、嫌いじゃなくて。  忍ばねばならない日陰の恋だと分かっていても、一緒にいる間だけは私、確かにすごく幸せだった。  その裏でなおちゃんのご家族がどんな気持ちで待っていらっしゃるかとか……本当は考えないといけないことが山積みのはずなのに、そういうのからわざと目をそらして。  まるで世界にはなおちゃんと私、ふたりきりみたいな気持ちで過ごすの。  罪深い女だと分かっていても、一度走り出した恋心(きもち)は今となってはもう止めることなんて出来なくて。  いつか訪れるであろう別れの日を考えないで済むように、私はなおちゃんの大きな手をギュッと握りしめる。 「どれがいい?」
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