*直太朗

7/9
前へ
/278ページ
次へ
 なおちゃんと私を繋いでくれた子だから、思い入れは強いけれど、あの子はかれこれ1年半、両親にもすごく可愛がられている。  今更慣れた家から連れ出すのも可哀想って思った。 「じゃあ、チィコ?」  20歳を越えたオッドアイの白猫の名前をあげられて、「まさかっ」とそれにも首を横に振った。 「チィコ、下手に環境変えたら弱っちゃうよ」  猫の20歳越えはかなりのおばあちゃんだもの。  言ったら、「じゃあ、誰を?」って聞かれて、私は脱衣所に置いていたスマートフォンを手に取った。 「この子を……お迎えしたいなって思ってて……」  狸みたいなお顔をしたフェレットの写真を見せたら、なおちゃんが瞳を見開いた。 「何、これ?」  なおちゃんが不思議に思うのも無理はない。  フェレットは、犬猫に比べたら知名度の低いペットだもんね。 「フェレット。イタチ科の生き物だよ」  言ったら、なおちゃんが「イタチ……」って小さくつぶやいた。
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

675人が本棚に入れています
本棚に追加