相変わらずの日常で

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相変わらずの日常で

 「レイコ!」  朝の登下校の道で、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。  高校の友達で、クラスメイトの遠野葵(とおのあおい)だ。  「…」  彼女の声はハッキリ届いたが、私はそれどころではなかった。  「レイコってば!」  「…おっす」  クマだらけの目で振り返り、挨拶を返す。  葵は驚いた表情で私の顔を見た。  「なに、…寝不足!?」  顔色が悪いとか、眠たそうとか、そんな精力のない顔面ファクターが、顔の至る所に詰め込まれていたからだろう。  文字通り、私は死にそうだった。
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