ゴーストライター

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 午前1時。音もなくパソコンが起動し、アップルノベルへとアクセスした。オレはベッドに座り、その様子をじっと眺めている。ほどなくするとキーボードが鳴りはじめ、オレのスマホが光った。通知ランプだ。  メッセージが1件届いています――アップルノベル  サイトを開いてみると、オレが送った感想に蝶子さんからの返事があった。  ブックマーク有り難う御座います。貴方様の後押しにより、コンテスト参加への決心がつきました。どうぞ、大賞を獲れるよう願っていてくださいね。 「……」  いやいやいやいや! してねえ、してねえ、後押しなんかしてねえよ! つか無理無理、大賞とか無理だって!  どうやらオレは蝶子さんに無駄な火を点けてしまったようだ。今アップルノベルで開催されているコンテストはいつつ。そのうちのふたつは短編のコンテスト、それから漫画原作コンテスト、恋愛小説コンテスト、そして――第3回アップルノベルミステリー小説コンテスト。きっと、蝶子さんが応募するならコレだろう。  文字数は10万文字以上、いま蝶子さんが書いている『美奈子の事件簿』は、まだ5万文字にも達していない。締め切りは今月末。三ヶ月で5万文字未満の人が、あと二週間で書ける? そこからして無理じゃない?
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