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三ヶ月後。
カタカタ
カタカタカタ
カタカタカタカタ
懐かしい音が部屋に響いている。睡眠をじゃまされ布団をはねのけて起きあがると――
「っ、な、なんだ!?」
応援していると言ったくせに
蝶子さんなら大賞確実だと言ったくせに
わたしは選ばれなかった
お前のせいだ
お前がわたしを褒めるから
お前が面白いと言うから
だから頑張ったのに
大賞どころか一次も通過しなかったじゃないか
お前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前の書けよお前が書けよお前が書けよ書いてみろよお前が俺の代わりに書けよお前が蝶子になれ俺は疲れたお前のせいで――
恐怖に震えながら慌ててスマホを手にとる。アップルノベルを開くと、例のコンテストの一次通過者が発表されていた。当然、蝶子さんの名前はない。それを彼女……いや、彼なのか。男だったのかよ! まあ、それはこの際どうでもいい。とにかく水無月蝶子は自分がコンテストに通らなかったのは、オレのせいだと言っている。
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