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それからというもの、負のオーラは至るところで見受けられた。こんなにも死にたい人間がいるのか……と、驚く反面、興味も湧いた。
そして、それが自分の生きる意欲にも繋がり――そんなにも死にたければ、手を貸してやろうと思った。
ただ、自らの手でヒトを殺めるわけにはいかない。十四歳以上であれば、犯罪少年になり刑事処分が相当とみなされれば家庭裁判所から検察官送致の可能性もある。
ならば、どうする……。
証拠が出なければいい。
しかし、そんなことは……。
そんな行ったり来たりの悶々とした日々を送ること、かれこれ三年余り……。
志季は、また新たな力を目覚めさせた。
それは高校二年の五月頃のことであった。
*
中学二年の時から見え始めた、ヒトから漏れる負のオーラは変わらず、見えたままだ。
幼い頃からヒトに触れた時、情景が断片的に流れ出す、記憶を読み取る能力も――未だ、消えていない。
高校二年に上がって、約一か月。クラスの中ではすでにスクールカーストができ始め、いじめも開始されていた。
やれやれと、肩をすくめる自分がいる。
人間はいつまで経っても変わらない。本当に愚かだ。同じ過ちを繰り返し、取り返しのつかなくなるまで反復する。
ヒトは後悔を味わうのが好きなのだろうか……。
しかし、理解はできずとも興味は日に日に増していき、人間どもがどうやって絶望していくのか、その過程を見てみたくなった。
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