蔽われていた過去

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「おい! こっちに餌がいるぞ!」  おりしもそんな時、聞き覚えのある声がどこからか聞こえてきた。  サイコビーストはその声に反応を示す。  凍砂は声がした方を見ると、 「唯人!?」 「ニュースで知って、もしかしたらサイコビーストかと思ったら。案の定だった」  唯人はゆっくりとこちらへ歩を進める。 「唯人、近づいちゃ駄目だ!」 「俺には見えないけど、サイコビーストってやつが、今そこにいるんだろ?」 「そうだ! 危ないから離れろ!」 「いや、離れない」 「どうするつもりだ」 「お前たちが必死に戦ってるのに、このまま何もしないで見てるなんて嫌だ。俺が(おとり)になるから、その間にやつを帰せ」 「無茶だ! よせ!」  唯人は「こっちだバケモノ」と云って、サイコビーストを煽ると、一匹のサイコビーストが唯人に向かって低い唸り声を上げた。 「やめろおお!」
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