王道転校生

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「話を続けるぞ。明日は丁度歓迎会が行われる予定だ。内容は毎年恒例の立食会。万が一に備えて風紀と保健委員はいつでも動けるようにしてくれ。以上、解散!」 パン、と柏手が一つ鳴り響いて重苦しい空気が払拭する。さて、帰ろうと椅子から立ち上がればちょっといいか、と控えめに声を掛けられた。 声の主を見やれば風紀委員長の瑠璃川朔。 「さっくん!どぉしたの?俺になんか用?」 「嗚呼、少し話したい事があったな。時間はあるか?」 「勿論だよぉ。カワイイ貴方の誘いを断るわけないでしょ?」 外で話そ、と均等に筋肉がついた男の腕に手を絡める。仮にも年上に対して無礼な態度を取る俺に突き刺さる様な視線が向けられるが気づかないフリをした。 睡蓮花が浮かぶ池の上に建った大理石のガゼボに案内する。此処は俺のお気に入りの場所だ。皆それを知っているから人は全く寄り付かない。 ベルを鳴らしてシェフを呼びつける。注文は一押しのダージリン・ティーと日替わりケーキ。勿論俺の奢りだ。 「それでぇ、話ってなあに?」 指を組んで目の前の整った風貌を見つめる。あいも変わらず初心な朔は目に見えて動揺しながらもしっかりと俺を見据えた。 「.......このことは言わないでくれと言われていたことなのだが、きみに話さないのは違うと思ってな。くれぐれも他言無用で頼む。公にするのはまだ先のことなんだ」 俺に話すなと言われた。 公にするのはまだ先。 なんだか、とてつもなく嫌な予感がする。
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