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「きみの弟を、風紀に加入することになった。有難いことに彼から申し出があってな、いずれは副委員長を頼みたいとも思っている」
.....してやられた。
ティーカップを持つ手に力が籠る。ぎり、と歯軋りして半端ヤケクソにフォークをケーキに突き刺した。
風紀、風紀委員会。
実質委員会、つまり『役職持ち』のトップ。
頃合いを見て退学させるつもりだったが、俺以上の立場になられるとそれは100%不可能になる。アイツは優秀だから、きっと夏前には副委員長の座に着くだろう。接触は避けたかったけれどやむを得ない。
「悪いけど、ちょっと用事思い出したから帰るね」
戸惑っている朔をおいて踵を返す。時計を見やれば午後の4時。如何やら丁度授業が終わったところらしく、ちらほらと帰宅する生徒が見えた。
物珍しげに寄越される視線を無視して嫌でも覚えたクラスに向かう。
目指す先は1−S。
エリート中のエリートが集まる化け物のクラス。
弱気になりそうな自分を叱咤して強気に扉をガラリと開けた。
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