王道転校生

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ティロリンティロリン。 思考に耽っていれば滅多にならない緊急連絡。 苺味のロリポップを口に含みながらゆっくりと開く。なんだか、嫌な予感がする。 [理事長の甥が転入してくることになった。至急会議室へ集合しろ] 簡潔、かつ横暴な文章。 最早誰からか、なんて見なくても分かる。 「人使いが荒いよねぇ」 生徒会長。 制服に少しでかめのパーカーを羽織り、ポケットに幾つかお菓子を捻じ込む。リビングにいた千尋に一言声をかけてから久方ぶりに外へ出れば太陽の光が目に刺さった。ポケットからサングラスを漁って装着するれば幾分かはマシになる。 「御影紫乃様だ」 「相変わらずの人妻美人......」 「サングラスに棒付きの飴.....とても不健全です!!」 「腰回りエッロいなぁ。騎乗位似合いそう」 「輪姦させて白濁と涙でぐちょぐちょにしてぇぇ」 じろじろと舐め回すような不躾な視線にふん、と鼻を鳴らす。見られるのはあまり好きではない。けれど嫉妬と憎悪と憤怒の眼は大好きだ。それは確かに俺の自尊心を満たしてくれるから。 見せつけるようにちゅ、と小さくキャンディに吸い付いて舌でぺろりと舐め回す。サングラス越しに見やれば前屈みになった男ども。顔を真っ赤にして鼻息荒く此方を凝視する様はなんとも滑稽だ。 けど、 ーー生憎素直にオカズになってやるほど、カワイくないから。 ガキン、と飴玉を勢いよく噛む。ボリボリと噛み砕けば皆一様に顔を青くさせて内股になった。 「あっは。おもしろ」 飴の無くなった棒を投げ捨てて目的地へ足を早める。捨てた棒がナニに使われるかなんて、どうでも良いことだ。だから知らないフリをしてあげる。俺はとーってもヤサシイからねぇ。
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