Chapter.03 SDカードと睡眠薬

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【Act.10】 「あの……このSDカードと一緒に伝言を(ことづか)ったんですけど……」 ディスプレイから目を離さないケーコさんの様子を伺うように、問いかけた。 ケーコさんは知ってるのかな? 「【SEVEN’s HEAVEN(セブンス・ヘブン)】で待ってるって仰ったんですよ、彼」 彼女の画面を撫でていた親指が止まった。 そして、ゆっくりと私に視線を移した彼女は、訝し気に眉間に皺を寄せ、首を少し傾けた。 「それ何処? てか、ラブホの名前かなんか?」 「いや……私も、ただ伝言されただけなんで……」 確かに、ゲームを知ってる私だから【SEVEN’s HEAVEN(セブンス・ヘブン)】は街だと真っ先にイメージしたけど、ゲームを知らない人に取っては、ラブホの名前のようにも聞こえたりするのかも? ましてや、ケーコさんに気のあるカモちゃんだから、――【第7の天国】――そう言う期待も込めて言ったのかなぁ? 「あぁーやだ! 画像だけじなく、わけわかんない場所で待ってるって、怖すぎない?」 ブルッと身を震わせたケーコさんが、スマホを閉じた。 そして、【SEVEN’s HEAVEN(セブンス・ヘブン)】が何かわからない消化不良な私を他所に、腕に掲げてた【Louis Vuittan(ルイ・ヴィタン)】のバックにスマホを入れた。 それが、この奇妙な話はおしまいだよと言われているようで、私も、消化不良な感じを抱えつつ、スタッフルームのドアに向かったケーコさんの後を追った。
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