Chapter.01 カモ

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【Act.10】 そんな人懐っこい口調と笑顔を見せ、意気投合したかようなノリで彼が言った。 【韓国で有名なメイクアップアーティスト】が手掛ける美容サロンのアンケートだから、協力してくれたお礼に、スキンケアセットのサンプルを渡すから着いて来てと……。 そして、警戒もせず、向かった先はセンター街を入って直ぐの雑居ビルの2階。 エレベーターが開くと、暖色ライトが白い素焼きのタイルを照らした南欧風の店構えが目に入った。 一見するとカットサロンのようなオシャレな佇まいを見せ、怪しげな雰囲気なんて微塵も感じなかった。 そして、つるんとした光沢ある白枠のガラス張りのドアを開けると、すぐに受付カウンターがあり、紺色のタイトなワンピース姿の女性が華やかな笑顔で私を招き入れた。 そのまま、ケントに案内されてカウンターの裏へと入ると、四方の壁に向かってサロンのようなカットシートと上半身を映し出す鏡が並び、1つ席を空けて女の子数名が座っていた。 その傍らには、ケントのような肌艶のいいオシャレで小綺麗な身なりの男の子と、先ほどカウンターで私に華やかな笑顔を向けた濃紺のワンピース姿の女性スタッフが彼女の両脇に座り、笑いを交えながら話をしていた。 そんな光景を見ながら、私もその一角に座る事になった。
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