Chapter.01 カモ

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【Act.15】 その後、ケントは態度を一変させた。 それまで、軽いノリで美容業界の話をしてもわかんねーだろ、みたいな足元を見るような態度だったのが、清算を終えて会員手続きをした私のご機嫌を取るように、お礼だと言ってご飯に誘った来た。 でも、その本当の目的は身辺調査。 金払いのいい特上カモの私から、どれだけ金の卵が産み出されるのか判断する為。 『ヒナちゃんのパパは、何してる人?』 『会社経営とか、なんか良くわかんないけど手広くやってるみたい』 これは、口が裂けても言えないから……濁した。 『へーえ……ヒナちゃん、お嬢さんなの?』 『自分では、そんな風に思った事はないけど……』 でも……似たような呼ばれ方をしていたから、否定はしない。 『またまたぁ。だって、あんな現金持ち歩いてるって相当じゃん!』 『えっと……あれは……お小遣いみたいな……?』 電子マネーが普及しているこのご時世、カードの1枚も持っていない事を知られて、逆に怪しまれないかと思って、咄嗟に嘘をついた。 『うわっ、まじ? あれって、小遣いなの!?』 カモが金のタマゴを抱えてる姿でも見えたのか、ケントが目を見開いて声を裏返した。 それからだ。 あいつは、日に何度もメッセージを寄越して、会おうと執拗に誘って来た。 そりゃ、家出娘だと思わず、現金を持ち歩いているバカなお嬢だと思い込んでるんだもん。 親に甘えれば、いくらでもお金を引き出せると算段したに違いない。 それを私は勘違いして、彼の彼女になったつもりで有頂天だった。
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