Chapter.01 カモ

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【Act.16】 デートと称して呼び出され、その都度、新製品が入ったと使いもしないスキンケア用品を買ってた。 そうすれば、ケントが喜んでくれる。 私だけに笑顔を向けてくれる。 いつも以上に優しくしてくれる。 そして……求められたから……。 初めてのキス。 初めてのセックス。 雑誌や小説で見聞きしたような、甘くて幸せで、オンナに生まれて良かったと思うような行為だと思い描いていた。 彼となら……大丈夫だと、そう思った。 けれど……現実は……。 こんな……もんか……。 と……呆気なかった。 甘いムードなんて微塵も無くて、鼻の穴にバナナを突っ込むほど痛くて。 でも、彼はそんな私の【初めて】なんてお構いなしに、四つん這いにして腰をガシッと捕まえ、舌打ちしながら「つまんねぇなぁ……」と呟き、面倒そうに身体を揺すってた。 それは、愛なんて必要のない……本能だけの動物のような行為だった。 痛さを我慢して唇を噛み、顔を歪め、私の背後で舌打ちをする彼の……何が「つまんない」のかわからず。 私が悪いのかと、自問自答しながら、ただひたすらコトが済むのを待つだけだった。 そして、自己嫌悪。 だけど、会う度に求められたから、嫌われたわけじゃないと思ったし、私的には、触れられるだけで人並みにドキドキもした。 そして……知らなかった事も教わった。 本当は……見るのもグロくて、触る事にも抵抗があって、口に含むのも戸惑った。 けれど……それも一種の愛情表現だと受け入れた。 それでも、やっぱり……何処か、なにかが違ってて……。 一方的に押し付けられ、喉の奥を突くように抽挿され、咽返って歯を立てると「ヘタクソ」と罵声を浴びせられた。 それがトラウマになって、求められる事が次第に苦痛になり、身体も拒否反応を示すように濡れなくなった。 肌を合わせると親密度が増す、と何かで読んだけれど、私の場合は違ってたみたいで……。 肌を合わせるほど、距離が出来るような気がしていた。
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