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【Act.05】
あれ、なんで?
『愛し愛されるような恋がしたい』と家を出たのに、マッチングアプリで出会った彼を『狩る』だの『カモ』だの『捕獲』だの、何を物騒な事を言ってるんだ?
と、思ったでしょ?
これは、マッチングアプリに理想の恋を求めたわけじゃなく、お仕事。
所謂、デート商法と言うもの。
出会い系アプリや街頭アンケートに答えて貰った男性をデートに誘って【お世話になった人のお店】と言っててるジュエリーショップに連れて行って、時計やリングなんかの貴金属を買わせるのが私の役目。
もちろん、恋愛感情なんて微塵も無く、立派な詐欺行為。
けれど、男と女の関係や感情なんて、おまわりさんにはわからないもの。
「ボトル入れてって言ってないのに、リシャール入れてくれた~♡」
なんて、高いお酒を何本も並べて動画を撮ってるお水のおねーさんなんてザラにいるでしょ?
好意でそうしてくれた事。
だから、『騙した』『騙された』なんて言う詐欺としての立証は難しいってことで、こんなグレーゾーンな職業が世の中には、まかり通ってる。
これが、1年前、意気揚々と大空に飛び立ったヒナの今。
真面目に働く所か、詐欺の片棒を担いでる。
この1年、世の中、綺麗な事よりも汚い事の方が多いと教わった。
信じるより、裏切られる事が多いと習った。
そして、誰しも自分が一番可愛くて、自分の身を守る事で精一杯。
私に高い授業料を支払わせ、それを勉強させてくれたのは、この街に来て初めて出会った……男からだった……。
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