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【Act.12】
「キャッチでもスカウトでも、おねぇさんのコレクション増やす詐欺師でもねぇから、メシ行かない?」
「はっ?」
「晩メシ食ってないでしょ? 行こ、ねっ?」
いやいや……可愛く「ねっ?」なんて小首を傾げて「うん」を引き出そうとしてもダメだから!
バカなオンナじゃなくバカを見たオンナは、そんな簡単に「うん」なんて言わない!
なんで、そんな話になんの?
逆に、キャッチより、スカウトより、ケントより怪しいでしょ!
「ナンパなら、違う相手探してください。 ねっ?」
私は、敢えて落ち着いた口調で、彼の「ねっ?」を突き返すように言った。
そして、相手にしてられないから、彼を避けて駅中へと歩き出したんだけど、フットワーク軽く纏わりつくように私と肩を並べてくる。
「ナンパじゃねーし! おねぇさんにお礼がしたいだけ」
「お礼? 私、おにぃさんにお礼される覚えはないし!」
「なんでよ? オレの大事なカード、見つけてくれたんでしょ?」
へぇー……そう言うんだ。
見つけた?
見つけさせた、の間違いじゃない?
何の目的があるのか知らないけど、大事なカードなら使用済みのバスタオルの下にワザワザ置くわけがない。
万が一、気づかずにそのままダストボックスに入れられたりしたら、とか思わなかったの?
いや……そもそも、あのカード、大事なもの?
だったら、なんで、わざわざ置いたの?
なんで、私に見つけさせたの?
なんで、なんで……のスパイラル。
あぁ……あかん……知りたい好奇心が疼いてる。
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