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【Act.03】
人込みに紛れて、スクランブル交差点の方へと歩き出そうとしたその手を、カモちゃんに引っ張られた。
そして、そのまま向かい合うように、腰に両腕を回された。
「やっっ……? えっ? な、に?」
グイグイと下半身を押し付けられる。
な、なに……盛ってんの?
それが我慢できず、回された手から逃れようとしたのに、不覚にもがっしりホールドされてる模様。
やばっ……。
と思うと同時に、それを察知したらしいカモちゃんが益々腕に力を入れて、下半身を私の太腿辺りに擦りつけて来る。
「ちょっ……コースケくん……」
困った声を上げた私を見て、カモが嬉しそうに目を細めた顔を見せる。
そして、身体を引き寄せられ、また鼻息荒く、今度は奇妙な事を言われた。
「あと2人、友達来るからさ」
えっ?
細めた目が横に伸び、薄っすらと笑われる。
「4人で楽しもうよ、ヒナちゃん」
その目を細めて私を見下ろす顔が、街灯の光を受けて陰影を作り出す。
二つの顔を見せるように、光が当たっている方は同じ調子の笑い顔に見えるのに、陰になった方は、ニタリと口角と目尻がつり上がったように見えた。
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