Chapter.05 カモのカモ

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【Act.04】 明らかに、雰囲気が変わった。 そう思ったから、瞬時に笑顔を消して、その腕から逃れようと身を捩った。 けれど、余計に締め付けるように力を入れ、抵抗しても無駄だと言わんばかりに、耳朶を生暖かい感触で挟んで言われる。 「メッキの安物、30万で買ってやったんだから、楽しませろよ? あはは!」 言葉とは裏腹に蔑むようにバカ笑いする。 30万……私がこのオトコに買わせたペアリングの代金。 こいつ、もしかして……?! ケーコさんの言ってた、騙された腹いせにトラップガールに仕返しするとか言ってたやつ……なんじゃ……? ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ! 引き攣る顔でオトコを見上げると、2次元好きな仮面を取っ払ったかのように、太々しく私を見下ろして唇をペロペロと舐めてる。 もう、その妙に細くて長い舌が気持悪くて……。 その舌で何されるんだって思うと、怖すぎる! それに、ケーコさんから聞いた話なんて眉唾だと思っていたのに、まさか、目の前のオトコがそうだったなんて考えると、仕事なんてやってられないでしょ! ― どんな事があっても、我が身が一番大事 この世界に身を置くと決めた時、コバヤシさんに言われたの! そう……だから、既に私の正体を知って、カモのカモにしようとしている目の前のオトコは、私に取っては百害あって一利もない!
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