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「え? ちょっと巧くん。ぷしゅーねこって何?」
奏があわてていると、本当にねこの頭から、ぷしゅーと湯気が吹き出してきた。
「うおっ!? 合ってた!?」
だが、通常なら5秒ほどで目を開けるはずのねこが、なかなか目を開かない。
それに何やら、ねこから焦げくさいにおいが漂ってくる。
そしてボタンの横にある『えらー』と書かれた赤いランプがチカチカと点滅を始める。
「合ってないよ! 壊れちゃった! そんなねこ、あるわけないでしょ!」
奏が慌てる。
もう一度ボタンを押して、
「ごはんねこ!」
と叫んだが、一度変更すると24時間はもとに戻せないルールのせいか、何の変化もない。
「じ、じゃあ、かしつきねこ!!」と必死の奏。
すると、その甲斐あってか、ようやく、ねこが目を開いた。
エラーランプも消え、ただ、ぷしゅーと頭から湯気が吹き出している。
焦げくさいにおいも出なくなってきた。
「よ、よかった……」
ほっとしている奏に、巧が言う。
「えー。つまんない」
「火事になったらどうするの。だいたい、かわいそうでしょ! こんなにいじめて。それに、ロボットなんだから、壊れたら弁償だってしなきゃいけないかもしれないよ」
「ねこはロボットじゃありません。ねこです」
と、かしつきねこはマイペースだ。
そのとき、ピンポーンとインターフォンが鳴る。
父が帰ってきたのだ。
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