1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
私の家では、金魚を飼っている。
ただの金魚ではなく、なんとサイコロがふれる金魚!
なんて言うとすごそうに見えるけど、そんなことはない。
ただ水槽の底に沈んだサイコロをつつくのが好きな金魚なだけだ。
でも、「うちにはサイコロをふる金魚がいる」、そう言っても嘘ではないよね。
そんな私の日課は、朝起きてすぐ、金魚鉢を覗き込み、サイコロを見ることだ。
その目が六ならば一番今日の運は良い。
一なら一番悪い。
つまり目が大きければ大きいほど運勢がいい、と勝手に決めた。
そんな私が今日の朝見たのは六。
やった。今日の運勢は抜群。
私は嬉しかった。よりによって今日の運勢がいいことが。
だって、私は今日、恋している男の子に、告白しようと思っているのだ。
成功間違いない気がしてきたよ。
私は意気込みたっぷりで登校した。
そんな私は涙をたっぷり出し尽くして帰宅した。
フラれた。
どうしてフラれたかって、もう好きな人がいて、その人と付き合ってるんだって。
やっぱり、金魚がふるサイコロなんて信用ならないなあ。
当たり前だなあ。
そんなことを思って、ふと金魚鉢の中を覗くと、サイコロの目は一になっていた。
いまさら一になってもねえ。
私は水面を軽く揺らすため息をついた。
その日の夜。私はベッドでまた泣きそうになっていた。
だけど、ちょっと考えると、ちゃんと想いを伝えてダメだったわけだし、そんなうじうじしてても仕方ないかなって思った。
それからしばらくして、私を振った男の子が、たくさんの女の子と付き合っていることがわかった。
そっか。そういうタイプの人だったのね。
なんだか意外だった。
あんまり本人のことを知らないのに、なんとなく好きになっていたのだ。
なんか高校生になったしとにかく彼氏欲しい! って思ってたことが原因かもしれない。
これから本当に好きになる人と出会えるかもしれないと思うと、それはすごく楽しみ。
最初のコメントを投稿しよう!