金魚のふったサイコロと私

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 私の家では、金魚を飼っている。  ただの金魚ではなく、なんとサイコロがふれる金魚!  なんて言うとすごそうに見えるけど、そんなことはない。  ただ水槽の底に沈んだサイコロをつつくのが好きな金魚なだけだ。  でも、「うちにはサイコロをふる金魚がいる」、そう言っても嘘ではないよね。  そんな私の日課は、朝起きてすぐ、金魚鉢を覗き込み、サイコロを見ることだ。  その目が六ならば一番今日の運は良い。  一なら一番悪い。  つまり目が大きければ大きいほど運勢がいい、と勝手に決めた。  そんな私が今日の朝見たのは六。  やった。今日の運勢は抜群。  私は嬉しかった。よりによって今日の運勢がいいことが。  だって、私は今日、恋している男の子に、告白しようと思っているのだ。  成功間違いない気がしてきたよ。  私は意気込みたっぷりで登校した。  そんな私は涙をたっぷり出し尽くして帰宅した。  フラれた。  どうしてフラれたかって、もう好きな人がいて、その人と付き合ってるんだって。  やっぱり、金魚がふるサイコロなんて信用ならないなあ。  当たり前だなあ。  そんなことを思って、ふと金魚鉢の中を覗くと、サイコロの目は一になっていた。  いまさら一になってもねえ。  私は水面を軽く揺らすため息をついた。  その日の夜。私はベッドでまた泣きそうになっていた。  だけど、ちょっと考えると、ちゃんと想いを伝えてダメだったわけだし、そんなうじうじしてても仕方ないかなって思った。  それからしばらくして、私を振った男の子が、たくさんの女の子と付き合っていることがわかった。  そっか。そういうタイプの人だったのね。  なんだか意外だった。  あんまり本人のことを知らないのに、なんとなく好きになっていたのだ。  なんか高校生になったしとにかく彼氏欲しい! って思ってたことが原因かもしれない。  これから本当に好きになる人と出会えるかもしれないと思うと、それはすごく楽しみ。
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