シバンムシ

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 失礼いたしました。私の日々は幸せですと奥様にお伝えください。こうやって離れの仕事もきちんとしております。すっかりこちらに住み着きになってしまい、本邸の方に戻らなくなったのは申し訳ありません。  ぜひともこれから雇い続けていただきたく。私も精進いたしますので。  まあ、もう帰られてしまうのですか? 若様がまだ戻られていませんのに。そろそろお戻りになられる頃です。  そうですか、行かれてしまうのですね。では気を付けてお戻りください。どうぞシバンムシにも噛まれませんよう。  ほら、聞こえます。  ――ざわわっ。  シバンムシの、騒めきが。
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