ただいま

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ただいま

8月23日 気がついたらどこかの部屋のベッドの上だった タマキと再開して 何かを首に打たれてから しばらくして意識を取り戻した 物凄い睡魔と怠さで 何もする気になれない 目が覚める度、近くに居るやつが毎回違ったような気がする。 ちょくちょく何か話しかけられたけど、 半分眠ってる状態だったからはっきりと覚えてない 頭を使おうとするとまた眠くなる 眠い 眠い 体もだるくて動かせない もう少し 寝かせて欲しい そうしてまた俺は眠りに落ちた 「あらら、また寝ちゃったわ…」 「何で戻ってきちゃったんだろうね、尚哉くん」 「タマキのやつ、ほんと人が悪いなぁ…ハハハ」 8月27日 何日経ったか分からない 1週間かもしれないし、 実は1日かもしれない ウッ…ゴホッ!ゴホッゴホッゲボッ ゴホッゴホッ ゴフッ ヒュー・・・ヒュー・・・ 自分の咳き込む音で目が覚めた 喉に何かが溜まっていて咳き込んだと思ったら 身体の中が痛くて痛くて息が出来なかった 自然と涙が出てきて視界が歪む 助けて 助けて 助けて助けて 誰か 誰にか分からないけど 心の中で叫んだ ゴホゴホゴホッゴホッゴフッ・・・ッ!!! ヒュー・・・ヒュー・・・ 枕元が血で汚れていた 喉に溜まっていたのは血だったらしい 病気? 俺、死ぬのかなぁ… 過去に人を殺してるし、死んでもロクなとこにはいけないだろうな… 身体は息もろくに出来ないのに、 血を見てからはやけに冷静だった そんなことを思っていたら 後ろから急に腕をとられて身体を抱きしめられた 背中を撫でてくれて それからまた首にチクッとした痛み ヒュー・・・ヒュー・・・ ヒュー・・・ 不思議と息がしやすくなった ありがとうと伝えたいのに声を出すのが辛い… 安心からか、身体のせいか涙が止まらない タマキ… 俺を許してくれて また拾ってくれて ありがとう… 嬉しい 嬉しい嬉しい 好きだ 苦しい 好き 辛い 嬉しい 痛い 優しい 頭の中で色んな感情がごちゃ混ぜになって目の前がグルグルしたと思ったら オレの視界は暗転した 8月28日 次に目を覚ました時 あんなに眠かったのが嘘のように頭の中がクリアだった それから改めてSMOKILLの奴らと対面した。 俺が居た時よりも明らかに規模が大きい。その中にはチラホラ見知った奴もいて、あぁアイツ死んでなかったんだなって奴もいたり、タマキの周りの取り巻きが前よりも増えてた。 “ヤマタノオロチ” 後から教えて貰ったけど、タマキとその取り巻き6人の頭文字をとってそう呼ばれているらしい 以前俺が壊したと思ったSMOKILLは全然壊れてなかった。 なんなら前よりも格段に大きい そんなことを考えていたら急に後ろから声をかけられる 「尚哉…」 声をかけられるまで全く気配を感じなかった 俺が振り向いた瞬間拳が飛んできてすんでのところで避けた 「千晶(チアキ)」 俺がチームに入った時から居たやつで、一言で言えばドM野郎。 そして昔からやたらオレに執拗に絡んでくる奴 「馬鹿な尚哉。どの面下げて戻ってきたわけ?」 「お前、まだ居たんだな」 千晶、あの時は弱かったのに なんだか纏うオーラが変わってるし、何よりさっきの拳…格段に強くなってる気がする 「尚哉くん、俺はヤジ。戻ってきて早々に申し訳ないけどさ、オレら今コレ、扱ってるわけなんだけど」 ヤジがチアキとオレの間に入ってきたと思ったら袋を差し出してくる 黒い粉末…? 「これって…」 これってもしかして、麻薬…? 「BLACK OUT ってゆーんだけど、オレらはこれらを流して金儲けしたりしてるんだよね」 …やっぱり 「ねぇ、タマキ…これって犯罪なんじゃ…」 「ハハハハハ尚哉くんは何を言ってるの??自分だって使ってたじゃん〜?」 え? 「何言って…」 「タマキが使ってたわよねぇ〜?」 千晶が笑いながらタマキに確認する まさか まさかまさかまさか タマキがこないだオレに打った薬ってもしかして…? 思わずタマキを見る 「あぁ、今回ようやく尚哉が戻ってきてくれたからな。だからお前は既にこの薬に手を染めてるってわけだ。」 そう言ってオレの頭を撫でてくる あぁ… タマキ…… 「だから安心してお前はこれをただばら撒けばいい。いいな?」 頭を撫でてる手つきは優しいのに NOとは言えないようなタマキの視線がオレに突き刺さる 目が離せない 目を離したら殺されそうな視線がオレに向けられている 怖いけど…嬉しい 気がつけばオレは黙って頷いていた 「尚哉って噂通りタマキにはチョロいんだなぁ」 五月蝿い タマキのいうことは絶対だから タマキはお前らとは違う こんなオレのこと許してくれた オレの特別だから 「改めておかえり尚哉」 ふわりとタマキが笑って両手を広げてくれる 「……!! ただいま!!!」 思わずタマキに抱きついた 懐かしい… またここに居てもいいんだなぁ… 幸せだな 「とりあえずお前は戻って今までどおり学校に行け。 そしてしばらくは普通に振る舞っていればいい。」 「…え?それだけ?」 「タマキってば尚哉には甘くない〜?」 「その方がいい。いきなり動き出すと周りの奴らに怪しまれるだろ。」 久しぶりのSMOKILLはBLACK OUTに染まっていた かつてのオレの居場所はオレの知っているところではなくなっていた 帰って今まで通りの高校生活を……送れるのかな。 いや、タマキのためになることがオレの今の生きる意味だから… 少し不安な気持ちと タマキのために何でもやってやるという意思をもって帰路についた
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